ゴミ本なんてない

色々な本の読み方の提案をしているブログです。

2018年映画化予定の小説を8冊読んでみた

映画『レディ・プレイヤー1』のワンシーン

映画『レディ・プレイヤー1』のワンシーン/©2018 Warner Bros.

昨年の、米アマゾンで最も読まれた本ランキングの第1位はマーガレット・アトウッドの『侍女の物語』、2位はスティーヴン・キングの『IT』となり、映像化作品の上位ランクインが目立ちました。今年も数々の書籍が映画化されますが、中でも特に話題になりそうなものをピックアップして8冊読んでみる事に。書店で売り切れてしまう前に、皆さんもお手に取ってみては?

海外作品

ゲームウォーズ」アーネスト・クライン(2011)

ゲームウォーズ(上) (SB文庫)

ゲームウォーズ(上) (SB文庫)

監督:スティーヴン・スピルバーグ

主演俳優:タイ・シェリダン、オリヴィア・クック

日本公開予定日:2018年4月

公式サイト:映画『レディ・プレイヤー1』オフィシャルサイト

2045年、人々は人口増加に伴いコンテナを積み上げた様な過密住宅で暮らしていた。世界はエネルギー危機に陥りまともな食事も無く、先行きの暗い現実から逃れるため皆ドラッグに溺れるか、OASISと呼ばれるVRゲームの中で仮初めの幸せに浸っていた。主人公の少年もその内の一人。彼の唯一の心の支えは、OASISの開発により莫大な富を得た後に亡くなった、ゲーム界の神ことジェームズ・ハリデーが残した遺言だった。「OASIS内に隠された秘密を最初に解いた者に遺産と自社の権利を全て譲渡する」ー。


映画『レディ・プレイヤー1』予告1【HD】2018年4月20日(金)公開

周りのアメリカ人もほとんど全員が読んでいたヒット作、ついにスピルバーグ監督により映画化!元々は2017年12月公開予定だったものが、『スターウォーズ8』と被ってしまったために2018年3月公開に変更されたそう。原作はプロット自体には特にひねりはないものの、圧倒されるのは作者のサブカル知識。ゲームやアニメ作品の引用がたっぷりで、マジンガーZウルトラマンまで出てきます(小説に登場する全作品のリストはこちら)。映画化に当たっては、版権の問題でこういったキャラが出せないのでは?という一抹の不安が。予告編を見る限りではそこら辺はうまく誤魔化してそう。とにかくSFXたっぷりの映画版、公開が楽しみです。

全滅領域」ジェフ・ヴァンダミア(2014)

全滅領域 (サザーン・リーチ1)

全滅領域 (サザーン・リーチ1)

監督:アレックス・ガーランド(代表作:『エクス・マキナ』)

主演俳優:ナタリー・ポートマンテッサ・トンプソン

日本公開予定日:2018年3月にNetflixで公開

公式サイト:Annihilation Movie - ホーム | Facebook(英語)

突如地球上に出現したエリアX。生物が謎の変容を遂げるこの領域は、とても静かに、しかし確実に拡大していた。調査隊の四名の内の一人として派遣された生物学者である「私」。他のメンバーは、測量技師、人類学者、そして心理学者。何故、私達は名前で呼び合ってはいけないのか。何故、私達は旧式の武器しか持たされていないのか。そして何故、過去11回の調査は全て失敗に終わったのか…。謎に次ぐ謎、あなたはページを繰る手を止められない。


Annihilation (2018) - Official Trailer - Paramount Pictures

個人的に一番気になっている映画がこれ!ティザートレイラーを見てから原作が気になって、あっという間に三部作の一作目を読んでしまった。批評家が形容に困る気持ちも分かる気がする、恐らくSF作品に分類される?代物です。いや、読んでいる最中は、生命なのかも分からない、意思疎通も図れない得体の知れない存在に、ただただ恐怖しか感じないので、やっぱりホラーかもしれない。新しい予告編を見ると映画は完全にパニック物に寄せた感じがするし…。しかも怖いのに、真相を知りたいがために本を置く事ができない!気味悪さの演出が巧いなーととにかく感じました。人によって恐怖を感じる部分は変わると思うけど、私は作中に登場する人間の目をしたイルカが一番怖かったです。ただ、大抵こういう謎に次ぐ謎作品は、風呂敷を広げ過ぎて収集がつかなくなる場合が多いので、残り二作でちゃんと畳めるのかが気になる所。ちなみに日本では映画はNetflix限定公開になるそう。う~ん、一部の人しか見れないのが残念。

五次元世界のぼうけん」マドレイン・ラングル(1962)

A Wrinkle in Time (Madeleine L'Engle's Time Quintet)

A Wrinkle in Time (Madeleine L'Engle's Time Quintet)

監督:エイヴァ・デュヴァーネイ

主演俳優:オペラ・ウィンフリー、リース・ウィザースプーン、ミンディ・カリング、クリス・パイン

日本公開予定日:未定(米2018年3月)

公式サイト:A Wrinkle in Time | Disney Movies(英語)

落ちこぼれとして学校では浮いた存在の姉弟。さらに、父親は数年前から行方不明。他の女と駆け落ちしたのでは、という心無い噂やからかいに耐えながら、残された家族はなんとか毎日を持ち堪えていた。そんなある嵐の夜、不思議な格好をした老婆が家を訪れる。彼女の口から知らされる、暗黒に包まれつつある宇宙の危機。そして父はなんとそれを阻止するため戦う戦士の一人だった。囚われた父を救うため、姉弟と友は彼を探す旅に出る。


A Wrinkle in Time Official US Trailer

日本ではあまり知られてませんが、アメリカでは名作として必ず名が挙げられる児童文学小説が、ついにディズニーの手により映画化。本作は最も優れた児童文学に与えられる、ニューベリー賞も獲得しています。しかも次元移動を扱っている点と、共産主義を批判したディストピア作品ともとれる内容から、SF好きの必読書として挙げられる事も。こちらの「SF読書チャレンジ」の100冊にも入ってます。残念ながら、和訳は1965年に出版されたきり、未だ復刊の予定はないそう。映画化を機に新訳が出たりしないだろうか。それにしても、映画はキャストがとにかく豪華。流石ディズニー、金かかってる~笑 個人的には小説の方はキャラクターに違和感があって感情移入できなかった点と、少々プロットが淡泊過ぎたので、映画が独自のアレンジを加えるのか気になる所。あ、でもやっぱりクライマックスでは少し泣いた事をここに白状します。あの単語の繰り返しは卑怯でしょ。

ベル・カント」アン・パチェット(2001)

ベル・カント

ベル・カント

監督:ポール・ワイツ

主演俳優:ジュリアン・ムーア渡辺謙クリストファー・ランバート

日本公開予定日:未定(米2018年)

公式サイト:未公開

とある夜、中南米国の副大統領宅。工場の誘致のため、日系電子企業の社長の誕生日祝いと称し、彼が信奉するオペラ歌手を招いた晩餐会が開かれていた。天使の様な美声に誰しもが酔い痴れる中、突然のテロリストの侵入により事態は暗転する。テロリストが要求する大統領は不在、計画が一瞬にして破綻してしまった彼らに代替案は無く。誰もが予想しなかった異例の数ヶ月にも及ぶ膠着状態が続く。そんな中、箱庭の様な世界で構築されるテロ集団と人質達の奇妙な関係性。それが決して永遠には続かないものであると皆が知りつつも…。

あああ 残念ながらこちらも日本では全然知られていないのですが、とても好きなんです、この本。実際に起きた在ペルー日本大使公邸占拠事件を題材にした小説です。同著者の『密林の夢』は2014年に日本で和訳出版されているので、そちらをご存知の方はいらっしゃるかも。シンクから水がぽっ…たりと垂れるまでを描写したかようにゆっくりとした進行で、テロリストと人質、囚える者と囚われた者の境界が徐々に融解していく様を描いています。イタリア語で「美しい歌」を意味するタイトルの通り、要所要所で挿入される歌の描写も息を呑む程美しい。それがまさか渡辺謙ジュリアン・ムーアで実写化なんて!豪華!大好きな作品だからこそ、映画化も是非成功して欲しい。

日本作品

去年の冬、きみと別れ中村文則(2016)

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)

監督:瀧本智行

主演俳優:岩田剛典、斎藤工山本美月

日本公開予定日:2018年3月

公式サイト:映画『去年の冬、きみと別れ』オフィシャルサイト

「あなたが殺したのは間違いない。……そうですね?」女性二人を焼き殺した罪で収監された写真家の元に、ルポライターが現れる。彼の本を書くために。殺人犯との書簡や彼を取り巻く人々からの証言を元に、徐々に明らかになる、彼の狂気とはー。


映画『去年の冬、きみと別れ』特報【HD】2018年3月10日(土)公開

『教団X』や『R帝国』で最近注目の中村文則による完全ミステリー。ただ申し訳ないのですが、『土の中の子供』を読んで以来あまり好きな作家ではなく…。評価も辛辣なので中村さんが好きな方はここから先は読まないでください!

綺麗に伏線を回収したミステリーですが、全体的にアクが弱い。実は写真家以外の人間も全員狂っている事がこの話のミソだと思うのですが、なんかだいぶあっさりしてる…。あと、この作家は多読をアピールしたいのか、小説の引用をよくするんだけど、「死ぬまでに絶対読むべき名作100選」みたいなリストの小説ばかりでこちらが恥ずかしくなってしまう。あと、毎回毎回養護施設育ちをテンプレ通りの心傷持ちに描くのは止めて欲しい。ボロクソに書いてしまいましたが、上記でも記した通り話のまとまりはとても綺麗なので、普段あまりミステリーを読まない人におすすめ。映画は斎藤工の演技が気になる〜。

娼年石田衣良(2004)

娼年 (集英社文庫)

娼年 (集英社文庫)

監督:三浦大輔

主演俳優:松坂桃李真飛聖

日本公開予定日:2018年4月

公式サイト:映画『娼年』公式サイト

大学生活にも飽き、バーでのバイトに明け暮れ無為な日々を送るリョウ。中学時代の同級生で、現在はホストをしている友人が連れてきた女性は、なんと会員制のボーイズクラブのオーナーだった。自らの意思で娼夫となり、様々な女性の心を全身で受け留めていく事を決めた、そんな彼の話。


4/6(金)公開『娼年』特報映像

舞台化作品で組んでいた三浦監督と松坂桃李のタッグがなんとそのまま映画でも共作する事に。うん、確かに主人公は松坂さんのイメージだ。元々友人に薦められ読んでいた本作。昔『池袋ウェストゲートパーク』のドラマ版を見て、トラウマになってから石田衣良はどこか忌避していた部分があったが、これを機に初めて手に取ってみた。意外や意外、文体は非常にしっかりとしていて読みやすく、物語の構成も丁寧に練られていて少々面食らった。衝撃的なタイトルとは程遠い、とてもとても優しい物語。女性の方は、主人公の様に何事も受け入れてくれる度量のある人が身近に居てくれたら、と夢想してしまうかもしれない。ちなみに映画の予告はだいぶ過激ですが小説はそこまででもなかった気が。

羊と鋼の森石田衣良(2015)

羊と鋼の森

羊と鋼の森

羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

2018年2月に発売された文庫本も装丁が可愛らしく単行本と二冊併せて欲しくなる。

監督:橋本光二郎

主演俳優:山﨑賢人、鈴木亮平上白石萌音上白石萌歌

日本公開予定日:2018年6月

公式サイト:映画「羊と鋼の森」公式サイト


映画『羊と鋼の森』特報

偶然聞いたピアノの調律に心を掴まれ、調律師になる事を決めた、ひたすらに純粋で貪欲な主人公の成長譚。2016年、『火花』や『君の膵臓をたべたい』などの人気作を抑え第13回本屋大賞に輝いた本作。最初の数行は少し文体が臭過ぎて赤面したものの、その後はしっかり世界観にハマってしまい気にならなくなった。調律の世界って思ったより奥が深く、このネタで小説なんて書けるのか?という不安もすぐに杞憂に終わった。ただ、全体的に物語があまりにも綺麗過ぎて、心に何にも引っ掻き疵がつかなかったので、数年後にはふわっと忘れてしまいそう。映画は果たしてどのようなものになるだろう。

ビブリア古書堂の事件手帖三上延(2011)

監督:三島有紀子

主演俳優:黒木華野村周平

日本公開予定日:2018年

公式サイト:映画『ビブリア古書堂の事件手帖』2018年全国ロードショー

就職浪人中の五浦大輔は、幼い頃のトラウマにより本が読めない。そんな彼が本を処分するために訪れた北鎌倉のとある古本屋。そこの女主人は美しく可憐で、非常に人見知り。そして圧倒的なまでの本に関する知識と愛で、古書店から一歩も出る事なく数々の本にまつわる難事件を解決してしまうのだった。とある事件をきっかけに、なんと五浦大輔はそんな彼女と働く事になりー。

ドラマ化や漫画化でも有名な本作が、ついに実写+アニメのダブル映画化。ライトノベルと侮っていた割には内容がしっかりしていて楽しんで読めた。サスペンス要素もあり面白いので、表紙を見て手に取る事を躊躇していた方は是非これを機に読んでみては。

まとめ

今年の映像化注目作品はこんな感じです!他にもクリス・ヘムズワース主演のアフガンでの米陸軍特殊部隊のタリバン掃討作戦を描いた『12 STRONG/ホース・ソルジャー』原作の『ホース・ソルジャー』や、長瀬智也ディーン・フジオカ高橋一生主演の池井戸潤原作『空飛ぶタイヤ』も面白そう。今年も映像化作品が豊富な一年となりそうです。